なすすべのない時、神を見上げる
( 第二歴代誌20章12、15、17)
- 20:12 「私たちの神よ。あなたは彼らをさばいてくださらないのですか。私たちに立ち向かって来たこのおびただしい大軍に当たる力は、私たちにはありません。私たちとしては、どうすればよいかわかりません。ただ、あなたに私たちの目を注ぐのみです。」
- 20:15 彼は言った。「ユダのすべての人々とエルサレムの住民およびヨシャパテ王よ。よく聞きなさい。主はあなたがたにこう仰せられます。『あなたがたはこのおびただしい大軍のゆえに恐れてはならない。気落ちしてはならない。この戦いはあなたがたの戦いではなく、神の戦いであるから。
- 20:17 この戦いではあなたがたが戦うのではない。しっかり立って動かずにいよ。あなたがたとともにいる主の救いを見よ。ユダおよびエルサレムよ。恐れてはならない。気落ちしてはならない。あす、彼らに向かって出陣せよ。主はあなたがたとともにいる。』」
- 敵の大軍に攻められる
南ユダ王国がヨシャパテ王のとき、モアブ、アンモン、エドムの連合軍がヨシャパテと戦おうとして、おびただしい大軍をもって攻めてきました。
ユダ王国に対して敵の数は圧倒的であり、これらの大軍を迎えるためには味方の戦力は、あまりに貧弱であり、このような事態に王も民もなすすべを知りませんでした。
「私たちに立ち向かって来たこのおびただしい大軍に当たる力は、私たちにはありません。私たちとしては、どうすればよいかわかりません。」と、ヨシャパテは、告白しています。
- 信仰に歩むときに受ける敵からの攻撃
ヨシャパテは、王国からアシェラ像を除き去り、心を定めて常に神を求めました。ユダにあるすべての城壁のある町々にさばきつかさを立て、主なる神が公平なさばきが行われることを求めておられることを覚えるよう思い起させ、町ごとにこれを任命し、善政を行いました。
神を求め、神のことばを行おうとするとき、必ず敵からの攻撃を受けます。
このような敵からの攻撃は、自分の能力や計画によっては解決のしようがない、自分を取り囲む状況が出口のみえない、なすすべのない状況に陥ることがあります。
わたしたちも、しばしば、イエスキリストを主として人生を歩むときに、どう解決をしたらよいのか、自分達の解決能力を超えた状況に陥ることがあります。
- なすすべのない問題に直面するとき
このような、試練、窮地のなかでヨシャパテは、ただひたすら主に求め、ユダ全国に断食を布告しました。そして、人々を集め、神の偉大さを認め、「主よ。あなたは天におられる神であり、また、あなたはすべての異邦の王国を支配なさる方ではありませんか。あなたの御手には力があり、勢いがあります。だれも、あなたと対抗してもちこたえうる者はありません。」と、祈りました。
自分の力では解決の出来ない状況に陥ったとき、ただひたすらすべてを解決することのできる方を求め、神の偉大さ、全能であり全知の方が時にかなって最善の解決を与えられることに信頼を置くか、その状況に目を奪われ、不安と恐れとにかられ自分の状況にたいして不平、不満を抱き、苦い根を心に持つかという岐路に立たされます。
このようなときに、問題や困難な状況に捉われるかわりに、驕りと誇りを捨て、自らへりくだって神に信頼する人々と共に心から祈り、それを解決することのお出来になるかたに焦点を移し、期待することはわたしたちの信仰を一層強め、神との関係を深めることができます。
さらに、ヨシャパテは、「あなたはこの地の住民をあなたの民イスラエルの前から追い払い、これをとこしえにあなたの友アブラハムのすえに賜わったのではありませんか。」と祈っています。
- 神が約束された勝利
ヨシャパテは、神の約束の故にアブラハムの子孫であるイスラエルの民が、過去にすでに、自分達の能力を超えて勝利を与えられたことを再確認し、神の約束が変わっていないこと、神が過去にされたように、今も直面する問題を解決されるように祈っています。
わたしたちが直面する問題や困難な状況のなかで、すでにわたしたちのために問題や困難な状況を過去にも解決されたことを思い起こし、御言葉の約束に立って、神に委ね、信頼することができます。
「あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食い尽くすべきものを捜し求めながら、歩き回っています。 堅く信仰に立って、この悪魔に立ち向かいなさい。」(第一ペテロの手紙5章7-9)
さらにヨシャパテは、神が祈りに答えられ『もし、剣、さばき、疫病、ききんなどのわざわいが私たちに襲うようなことがあれば、私たちはこの宮の前、すなわち、あなたの御前に立って・・あなたの御名はこの宮にあるからです。・・私たちの苦難の中から、あなたに呼ばわります。そのときには、あなたは聞いてお救いくださいます。』と、神が主の御名のゆえに、祈りを聞かれると約束されたことに訴えました。
- 神からの励まし
神は、このヨシャパテの祈りにアサフ族の出のレビ人ヤハジエルをとおして答えられ、
『あなたがたはこのおびただしい大軍のゆえに恐れてはならない。気落ちしてはならない。この戦いはあなたがたの戦いではなく、神の戦いであるから。
彼らのところに攻め下れ。見よ。彼らはツィツの上り道から上って来る。あなたがたはエルエルの荒野の前の谷のはずれで、彼らに会う。
この戦いではあなたがたが戦うのではない。しっかり立って動かずにいよ。あなたがたとともにいる主の救いを見よ。ユダおよびエルサレムよ。恐れてはならない。気落ちしてはならない。あす、彼らに向かって出陣せよ。主はあなたがたとともにいる。』」 と、語られました。
神は、聖書全体をとおして、神により頼む者が圧倒的な敵や、自分達の能力や力では解決出来そうもない問題に直面するときに励ましを与えられ、「恐れるな、気落ちせずに、しっかり立って、あなたと共におられる主、神の業を見なさい」といわれています。
なすすべのない困難な状況や、圧倒的な敵の攻撃を受け、出口の見えない状態に陥るとき、不安にかられ、気落ちし、恐れに陥らない者はいません。
聖書は、何度も繰り返し、恐れるな、気落ちするな、しっかりと立ちなさい。という励ましをあたえられ、あなたと共におられる主、神の業を見るものとなりなさい、と語られています。
神はヨシャパテにも、主の救い、救いの業は、神の業だということを宣言されています。救いの業、戦いは、わたしたちが戦うのではなく、神が戦われる戦いです。
しかし、ここで注意しなければならないのは、自分たちの力では戦いに勝ちを治め、救われる見込みのないような敵のところに攻め下れ、と神が言われていることです。
敵や問題から逃げることなく、しっかり立って、気落ちすることなく出陣するためには、わたしたちにも、主がわたしたちと共におられることにたいする絶対の信頼がなければなりません。
神が戦われる救いの戦いに、神はわたしたちの助けを一切必要としておられませが、わたしたちが、神の絶対的な力に信頼し、神の戦い、神の側に付く者となり、その勝利を見る者となることを望んでおられます。
- 問題のなかで主を賛美する
ヨシャパテは、自分では解決できない問題、敵に直面し、ただひたすらすべてを解決することのできる方を求め、神の偉大さ、全能であり全知の方が時にかなって最善の解決を与えられることに信頼を置き、神の約束により頼み、神が答えられた励ましによって、戦いの前から
神が救いの業をされ、勝利されることを確信し、民と共に、主に向かって歌う者たち、聖なる飾り物を着けて賛美する者たちを任命し、彼らが武装した者の前に出て行って、「主に感謝せよ。その恵みはとこしえまで。」 と、主への賛美の歌を歌いました。
彼らが喜びの声、賛美の声をあげ始めたとき、主は伏兵を設けて、ユダに攻めて来たアモン人、モアブ人、セイル山の人々を襲わせたので、彼らは打ち負かされました。
- 神が戦われる
ヨシャパテの軍が、喜びの声、賛美の声をあげ始めたとき、敵の大軍は目の前で同士討ちをし始め、互いに力を出して滅ぼし合い、味方の軍は敵の同士討ちを眺めているだけで大勝利をおさめました。
そして、その敵の大軍のほうを見渡すと、なんと、死体が野にころがっていて、逃れた者はひとりもおらず、味方の民が分捕りをしに行くと、その所に、武具、死体、高価な器具を数多く見つけたので、これを負いきれないほど、はぎ取って、自分のものとし、それがあまりにも多かったので、彼らはその分捕りに三日かかった、というのです。
彼らはその谷に集まり、その所で主をほめたたえ、人々はその所の名をベラカ(בְּרָכָה Brakah (ber-aw-kaw') n/l.語源בְּרָכָה Brakah (ber-aw-kaw') n-f. (implication, man toward God) to bless God as an act of adoration、(implication, God toward man) to bless man as a benefit)神への賛美、神からの祝福の意、の谷と呼びました。
- 神の勝利を見る祝福
生ける神は、神の偉大さと真実さのゆえに、問題や、なすすべのない状況のなかでも、その只中にあって、ひたすら神の解決を求め、神の約束により頼み、御言葉の励ましに堅く立って、戦いの前から、そのとこしえの恵みを感謝し、賛美する人々に、神の救い、神の戦いとその勝利を見せてくださいます。
そればかりではなく、神は、結果としてそのような人々をより豊かに富ませてくださいます。
自分達では、なすすべのない状況のなかでも、神に信頼し、神を見上げ、神が解決を与えられる勝利の戦いを賛美し、神からの祝福によってより豊かに富んだ者となろうではありませんか。
第二歴代誌へ戻る
a:1592 t:1 y:0