神が見離されるとき(創世記6章1-3、5,6、11-13)

すべてを創造され、聖なる神は、寛容と忍耐に富んだ方であり、慈しみに満ちておられます。しかし、神ご自身の絶対的な正しさと義は、罪や不義とは相容れません。

神は、ご自身に似せて造られた人を限りなく愛され、人が神との交わりを持つことを望んでおられます。しかし、罪と不義に対して正しい裁きをされ、神との交わりを拒否し、神の寛容と忍耐を超えた罪と不義にとどまる者を永遠の滅びに引き渡されます。


ロマ書において、使徒パウロは、次のように、神の怒りが天からあらわされることについて、述べています。
「不義をもって真理をはばんでいる人々のあらゆる不敬虔と不正に対して、神の怒りが天から啓示されているからです。
なぜなら、神について知りうることは、彼らに明らかであるからです。それは神が明らかにされたのです。
神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。
というのは、彼らは、神を知っていながら、その神を神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなったからです。
彼らは、自分では知者であると言いながら、愚かな者となり、
不滅の神の御栄えを、滅ぶべき人間や、鳥、獣、はうもののかたちに似た物と代えてしまいました。
それゆえ、神は、彼らをその心の欲望のままに汚れに引き渡され、そのために彼らは、互いにそのからだをはずかしめるようになりました。
それは、彼らが神の真理を偽りと取り代え、造り主の代わりに造られた物を拝み、これに仕えたからです。造り主こそ、とこしえにほめたたえられる方です。アーメン。
こういうわけで、神は彼らを恥ずべき情欲に引き渡されました。すなわち、女は自然の用を不自然なものに代え、
同じように、男も、女の自然な用を捨てて男どうしで情欲に燃え、男が男と恥ずべきことを行なうようになり、こうしてその誤りに対する当然の報いを自分の身に受けているのです。
また、彼らが神を知ろうとしたがらないので、神は彼らを良くない思いに引き渡され、そのため彼らは、してはならないことをするようになりました。
彼らは、あらゆる不義と悪とむさぼりと悪意とに満ちた者、ねたみと殺意と争いと欺きと悪だくみとでいっぱいになった者、陰口を言う者、
そしる者、神を憎む者、人を人と思わぬ者、高ぶる者、大言壮語する者、悪事をたくらむ者、親に逆らう者、
わきまえのない者、約束を破る者、情け知らずの者、慈愛のない者です。
彼らは、そのようなことを行なえば、死罪に当たるという神の定めを知っていながら、それを行なっているだけでなく、それを行なう者に心から同意しているのです。」(ロマ書1章18-32)

 

神の寛容、忍耐、慈しみの限界を超えるときが、どんな時なのか, この創世記の箇所を見ることによって知ることができます。

人が神の御前に堕落し、地が暴虐に満ち、心に計ることがいつも悪いことだけに傾き、悪が増大してゆくとき、神の霊は永久に人のうちにとどまられません。

人は悪に対して抵抗なしにさらされ続けると、最初はショックだったことが除々に麻痺させられ、遂に悪に対し、それを許容するばかりか、悪が当然であり、悪を行うことが当然の権利であるかのように主張しはじめるのです。
わたしたちの身近にも、暴力や不品行によるセックス、ポルノの横行、同姓愛を当然のことのように認めるばかりか、それらが当然の権利のように不義と穢れを強要するようなことが起こっています。

聖なる神との関係を、人が自分の麻痺させられた悪によって 断ち切ってゆくとき、神の霊は永久には人の上にとどまりません。神は聖であり、完全に義なる方であるゆえに、穢れや不義と交わることが出来ないのです。


神の霊が人のうちにとどまらないという状態が人類全体に及んだとき、神は「わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。」と宣言されました。
全世界を覆う洪水(ノアの洪水)がもたらされ、ノアとその家族を除いた人類全体が滅びに至ったというこの記述は、わたしたちも深刻な警告としてこれを受け止める必要があります。何故なら、現代の世界がこのノアの時代の状況に酷似しているからです。


イスラエルの国家がバビロニア帝国によって滅びに至るときにも、神はおなじような警告を何度もされています。
 
「 それでも、あなたは何年も彼らを忍び、あなたの預言者たちを通して、あなたの霊によって彼らを戒められましたが、彼らは耳を傾けませんでした。それであなたは、彼らを国々の民の手に渡されました。しかし、あなたは大いなるあわれみをかけて、彼らを滅ぼし尽くさず、彼らを捨てられませんでした。あなたは、情け深く、あわれみ深い神であられますから。」 (ネヘミア書9章30、31)

「主は、あわれみ深く、情け深い。怒るのにおそく、恵み豊か」です。(詩篇103:8)

「 あなたがたの着物ではなく、あなたがたの心を引き裂け。あなたがたの神、主に立ち返れ。主は情け深く、あわれみ深く、怒るのにおそく、恵み豊かで、わざわいを思い直してくださるからだ。」(ヨエル書2章13)


神は恵み豊かであり、悔い改めて神の救いの御手を受ける者を決して見捨てられません。しかし、咎と背き、罪にたいし、これを見逃したり、見過ごされる方ではありません。

神の忍耐、神の罪にたいする赦し、神の寛容と怒りの下ることの遅いことを、神が罪や不義を裁かれないと錯覚することほど恐ろしいことはありません。このような欺きにたいする警告を、使徒パウロは次のように、のべています。

「私たちは、そのようなことを行なっている人々に下る神のさばきが正しいことを知っています。
そのようなことをしている人々をさばきながら、自分で同じことをしている人よ。あなたは、自分は神のさばきを免れるのだとでも思っているのですか。
それとも、神の慈愛があなたを悔い改めに導くことも知らないで、その豊かな慈愛と忍耐と寛容とを軽んじているのですか。
ところが、あなたは、かたくなさと悔い改めのない心のゆえに、御怒りの日、すなわち、神の正しいさばきの現われる日の御怒りを自分のために積み上げているのです。」 (ロマ書2章3-5)

「神のさばきは、神がキリスト・イエスによって人々の隠れたことをさばかれる日に、行なわれ」ます。(ロマ書2:16)


この世が神の御前に堕落し、地が暴虐に満ち、心に計ることがいつも悪いことだけに傾き、悪が増大してゆくとき、神の霊が人にとどまられない時が必ず訪れます。

このような時の近づいている現代、わたしたちも、神と共に歩み洪水の前に引き上げられたエノクや、神に恵みを得たノアのように、罪と不義から離れ、滅びから逃れ、滅びに至る裁きから免れる最後のときが近付いています。

そういうわけですから、わたしたちは、神のあわれみのゆえに、わたしたちのからだを、神に受け入れられる、聖い、生きた供え物としてささげ、霊的な礼拝をするときであることをおぼえなければなりません。

「この世と調子を合わせてはいけません。いや、むしろ、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのかをわきまえ知るために、心の一新によって自分を変える」ときがきているのです。(ロマ書12章1-2参照)



 
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