サタンの化身、獣  

(黙示録13章の講解)

すでに、神からの裁き、七つの封印の裁き、七つのラッパの裁き、まさに始まろうとする鉢の裁きについて悲惨な様子を見てきました。
この同じ時期、特に後半の時代が、サタン、あるいはこの世の側から見るときどのようなものなのか、そして、最後の鉢の裁きに至るまで何が起こるのかを13章では見てゆきます。

13章では6章、11章でも少し触れた、獣とか反キリストと呼ばれる人物がどのように登場し、患難の時代の後半、全世界の人々をどのようにして滅びと欺きに引き込んでゆくのかという様子がより詳しく述べられています。

人類は、創造者である生ける神を否定し、御子をとおしてあらわされた神の愛、罪の赦しを拒否し続け、この地球で世界的な、それもいままでに体験をしたこともない悲惨で破滅的な大戦争をくぐりぬけることになります。

戦争によって紛争が本当の意味で解決をもたらさず、戦争によって大量殺戮が行われ、税を取り立てられ、その税が兵器のために使われ、被害が自分の身に及ぶことを人々は知っているにも拘わらず、世界的な規模の戦争は避けられないものとなります。

イエスキリストによって与えられた贖いと罪の赦し、神の愛を受け入れないこの世は、一人一人が自分の欲を優先し、その虜となってゆき、世界中の人々の自己中心の欲望は収拾のつかないものとなります。
ヤコブは、戦いや争いがあるのは、あなたがたのからだの中で戦う欲望が原因であり、ほしがっても自分のものにならないと、人殺しをし、うらやんでも手に入れることができないと、争ったり、戦ったりすることが原因だと述べています。(ヤコブ書4章1-4)

現在の世界情勢は、すでにアフガニスタン、イラクでの戦争をはじめとしてアラブの春といわれる民衆の暴動、イスラム過激派やテロの問題、ロシアの旧ソビエト圏への絶えない南下拡大紛争、イラン、 シリア、トルコ、インド、パキスタン、尖閣諸島や南沙諸島をめぐる中国国境の紛争、北朝鮮における緊張など、さらに、イスラム圏諸国とイスラエルの緊張関係をふくむ解決のめどがたたない状態の中東問題など、いつどこで世界を巻き込む大戦争が勃発しても不思議ではありません。

先にも触れたように、聖書の預言は、イスラエルの民が散らされ、多くの日が過ぎて、イスラエルの民が多くの国々の民の中から連れ出され神の約束された地に住むようになる終わりの時に、ロシアを主体とする一時期前のソビエト連邦に含まれる国々、イラン、北アフリカのイスラム国家群、トルコなどの国々が、同盟を結んで突如イスラエルに大軍を侵攻し、侵略戦争を起こすことが、述べられています。
この大軍はイスラエルの北方から侵攻し、多分核兵器によるイスラエル軍との交戦状態になるのだと思われます。この戦争で、ロシア、イランをふくむ北方からのイスラエル侵略同盟軍は、兵器、兵力、に圧倒的に優る大軍にも拘わらず、神ご自身が介入され緒戦で致命的な敗北を喫します。しかし、このために、世界中が混乱状態に陥り、すべての国々が世界大戦争へまきこまれてゆくことは避けられない、という状態になります。(エゼキエル書38章、39章参照)

前に見たように、この中東戦争と同時か、それ以前にイエス・キリストの十字架の贖い、神の愛の御手を受け、聖霊の導きのなかに、キリストを主とし、信頼して生きる人々が、突如この世から携挙されます。
そして、このことによって、世界を巻き込む混乱状態は、より加速的なものとなるでしょう。

このように、世界中が混乱状態に陥った時、旧ローマ帝国の領土、多分、ヨーロッパ同盟国のなかから、この世界の混乱状態を解決する人物が登場し、天才的な政治力によって、世界中に和平条約を結ばせ、特にイスラエルとイスラム圏諸国の和平の象徴として、エルサレムの神殿の丘にユダヤ人たちが待望していたソロモンの時代の神殿の建設を認め、わたしたちが現在見ることのできる岩の神殿の隣に神殿が築かれます。
イスラエルには神殿建設基金団体がすでに存在し、ソロモンの時代の神殿建設に必要な、すべての祭具や、祭司の着る装束、ミノーラ、等等、がすでに着々とととのえられています。

この人物は、世界平和を期待する人々から「平和の君」ともてはやされるでしょう。
しかし、この人物こそ、ダニエル書の9章に述べられている70週の預言に触れられている「来るべき君」であり、「彼」こそが、「一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物とをやめさせる。荒らす忌むべき者が翼に現われる。ついに、定められた絶滅が、荒らす者の上にふりかかる。」という預言の箇所の中心的人物なのです。

彼は、先に見たダニエルの70週の預言の最後の一週、すなわち、先に見た一年を360日とする7年の周期の期間、中東和平条約を成立させ、ソロモンの時代のようなユダヤ人待望の神殿の建設を認め、ユダヤ人の祭りを復活させるのです。そして、週の半ば、すなわち、中東和平条約が結ばれた週の半ば、すなわち、7年の半分、3年半、1260日目にこの条約を破棄し、ユダヤ人の祭りを止めさせ、自分が神であることを宣言し、世界中の人々に彼を神として拝むことを強要します。

黙示 13:1 また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった。

ダニエル書7章にはダニエルが見た海からあらわれる大きな獣の夢とその夢の解き明かしが述べられています。
海からあらわれる四頭めの獣には、十の角があり、角の間から、もう一本の小さな角が出て来、その角のために、初めの角のうち三本が引き抜かれ、よく見ると、この角には、人間の目のような目があり、大きなことを語る口があるという獣がでてきます。
この獣は世界の終末のときに世界を制覇する帝国であり、神の権威に反抗する独裁者の預言となっています。
聖書で角は、力や権威を象徴していますが、十の角は、旧ローマ帝国の要素を持ったいくつかの国々から構成される複合国家権力をあらわしています。
この時期には、十カ国あるいは、世界の十の区域を代表するような連合国家権力が世界を支配することを示していると思われます。
七つの頭は、旧ローマ帝国の地域の欧州十カ国あるいは旧ローマ帝国のような世界の十の地域で世界帝国としての権力を持つ帝国のなかから三ヶ国、または三つの地域を自分の権力下において出現する獣、すなわち神の権威に対抗しようとしてあらわれる独裁者を示しています。
さらに、この一節で述べられている七つの頭は、七つの丘の都ローマを示しています。

七番目の天使の吹き鳴らすラッパが鳴り響くなかで、旧ローマ帝国の要素をもった十カ国、または世界の十の区域を支配する権力のなかからサタンの力によって世界平和と諸問題を解決するかのごとく出現した世界的な支配をする独裁者が、世界中の人々を欺きのなかに引き込んでゆきます。 

黙示 13:2 私の見たその獣は、ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口はししの口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と位と大きな権威とを与えた。

ダニエル書7章にはダニエルの見た海からあがってくる夢とその夢の解き明かしの預言が述べられています。この預言は、2章に出てくるバビロニア帝国のネブカデネザル王が見た巨大な像の夢とその解き明かしと同じように、人によって治められ世界を支配する異邦国家の政治権力を象徴する世界帝国の預言となっています。

この預言は、ダニエル書2章での預言が人類の歴史的観点から示されているのに対して同様の預言が、7章では神からの観点からダニエルの見た夢の預言として示されています。
人類の視点からは、世界帝国が巨大な像のように映っても、神の視点からは、この世の君、サタンに引き回される獣のように映るというのです。

7章におけるダニエルの見た夢は、この獣は獅子、熊、豹に似たものとしてあらわれ、四頭目に現れる獣は恐ろしく、ものすごく、非常に強くて、大きな鉄のきばを持っており、食らって、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけ、前に現われたすべての獣と異なり、十本の角を持っている怪獣として出現しました。

ヨハネがこの黙示録の箇所で述べている獣の幻では、豹、熊、獅子に似た獣として出現しています。
これは、ダニエルが預言した紀元6世紀の時点では、獅子に似た獣として描かれているバビロニア帝国、熊のような重厚で獰猛な獣に似たミードペルシア帝国、豹のように素早く獲物を捕らえる獣に似たギリシャ帝国は、これから出現する帝国であったのに対し、ヨハネがこの幻を見た紀元一世紀の終わりの時点では、すでに成就している歴史的事実でした。そのために、三頭の獣が出現する順番がダニエル書7章と黙示録13章では逆の順番となっています。

最後に出現する獣は、龍から力と権威と位を与えられます。龍は、先に見たようにサタンを象徴し、サタンはキリストの再臨までこの世に君臨し支配し、この獣に権威を与えあらゆる問題をこの世に引き起こし続けます。

黙示 13:3 その頭のうちの一つは打ち殺されたかと思われたが、その致命的な傷も直ってしまった。そこで、全地は驚いて、その獣に従い、
黙示 13:4 そして、竜を拝んだ。獣に権威を与えたのが竜だからである。また彼らは獣をも拝んで、「だれがこの獣に比べられよう。だれがこれと戦うことができよう。」と言った。
黙示 13:5 この獣は、傲慢なことを言い、けがしごとを言う口を与えられ、四十二か月間活動する権威を与えられた。
黙示 13:6 そこで、彼はその口を開いて、神に対するけがしごとを言い始めた。すなわち、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちをののしった。
黙示 13:7 彼はまた聖徒たちに戦いをいどんで打ち勝つことが許され、また、あらゆる部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。

患難の時代のこの時点、後半の三年半のはじまろうとするとき、反キリスト、獣は暗殺未遂によって死ぬような傷を受けます。この出来事は旧約ゼカリヤ書の預言によれば、獣である反キリストが右の目を失い、右腕が麻痺させられる傷を負い、人々は彼が暗殺されたのだと思います。

「見よ。わたしはひとりの牧者をこの地に起こすから。彼は迷い出たものを尋ねず、散らされた
ものを捜さず、傷ついたものをいやさず、飢えているものに食べ物を与えない。かえって肥えた獣の肉を食らい、そのひづめを裂く。
ああ。羊の群れを見捨てる、能なしの牧者。剣がその腕とその右の目を打ち、その腕はなえ、その右の目は視力が衰える。」(ゼカリヤ書11章16、17)

しかし、彼はこのような重傷から生き返り、全世界の人々がその力に驚き、「だれが、これと戦うことができようか。」と言って恐れるのです。彼はこの世の人々の目に不死身のように思われ、このときから人々はこの反キリスト、獣をとおしてサタンを拝むようになります。
この獣は、傲慢なことを言い、けがしごとを言う口を与えられ、四十二か月間活動する権威を与えられ、口を開いて天に住む者たちをののしり、神に対するけがしごとを言い始めます。
四十二か月間は、三年半、千二百六十日に該当します。この獣、反キリストは大患難の時代といわれる三年半の間、全世界の人々を欺きに引きずりこみ、大言壮語を吐いて、天に住む者たちをののしり、イスラエルの民に戦いを挑み、勝つことを許されます。

この7節の箇所の聖徒たちというのは、イスラエルの民の選ばれた人々のことを指しています。
キリストの肢体、花嫁である教会はこのときには携挙され天の御座に引き上げられています。
イエスは、「黄泉の力もイエスが神の御子キリスト、メシアであり救いであるという信仰を土台とする教会にはサタンも対抗することができない」(マタイ福音書16章18参照)と、宣言されたように、反キリストが勝つことを許される聖徒たちとは、イスラエルの選ばれた人々を指しています。

黙示 13:8 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、世の初めからその名の書きしるされていない者はみな、彼を拝むようになる。
黙示 13:9 耳のある者は聞きなさい。
黙示 13:10 とりこになるべき者は、とりこにされて行く。剣で殺す者は、自分も剣で殺されなければならない。ここに聖徒の忍耐と信仰がある。

ここで地に住む者と述べられているのは、この世に浸りきって、この世の流れとともにイエスの贖い、神の愛を否定する人々のことを指しています。
このような人々が獣を拝み、虜となり滅びへと至ります。
わたしたちのために、神の御子キリストが罪の犠牲の小羊となられたことを信じ、主として歩む人々のすべてが、その名をいのちの書に記されているという約束は、ローマ皇帝からの激しい迫害のなかでこの幻を見たヨハネばかりでなく、わたしたちにも現実的な素晴らしい励ましです。

黙示 13:11 また、私は見た。もう一匹の獣が地から上って来た。それには小羊のような二本の角があり、竜のようにものを言った。
黙示 13:12 この獣は、最初の獣が持っているすべての権威をその獣の前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷の直った最初の獣を拝ませた。
黙示 13:13 また、人々の前で、火を天から地に降らせるような大きなしるしを行なった。
黙示 13:14 また、あの獣の前で行なうことを許されたしるしをもって地上に住む人々を惑わし、剣の傷を受けながらもなお生き返ったあの獣の像を造るように、地上に住む人々に命じた。

ここでは、子羊のような二本の角をもった竜のようにものを言う、もう一匹の獣が登場します。先の獣はサタンによってこの世の政治権力を与えられる反キリストですが、この獣は、あたかも子羊のような謙虚さと優しさを装い、世界の宗教を平和の謳い文句によって一致させ、宗教的な指導者として登場する偽預言者です。
この偽預言者は、小羊のような柔和さを装い、十一章で見た二人の預言者と同じように、人々の前で火を天から降らせ、全世界の人々を惑わします。
この偽預言者によって、反キリスト、獣の像が神殿に祀られ、世界中の人々がこの獣の像を拝むことを強要されます。

「しかし、驚くには及びません。サタンさえ光の御使いに変装するのです。ですから、サタンの
手下どもが義のしもべに変装したとしても、格別なことはありません。彼らの最後はそのしわざ
にふさわしいものとなります。」(第二コリント人への手紙11章14、15)

黙示 13:15 それから、その獣の像に息を吹き込んで、獣の像がもの言うことさえもできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。

患難の時期に再建される神殿に、偽預言者である世界の宗教指導者として現れる別の獣は、世界の政治、経済、この世の権威を掌握する独裁者、反キリスト、獣の像を造らせ、その像はものを言うことさえもできるのです。ヨハネがこの幻を見た紀元一世紀の時代には考えられなかったことですが、現代ではコンピユーターチップを内蔵した精巧な遠隔操作やロボットによって、像を造り、あたかも実在の本人がものを言っているようにすることが可能な時代にわたしたちは暮らしています。
ちょうど、ネブカデネザル王がダニエルによって解き明かされた頭は純金、胸と両腕とは銀、腹とももとは青銅、すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でできた巨大な像と、この像が人の手によらずに切り出された石によってあとかたもなく砕かれ、永遠に立つ国が興るという神から啓示された世界を支配する帝国の夢(ダニエル書2章参照)に反抗して全身が金で出来た巨大な像を造り、この像を ひれ伏して拝まない者はだれでも、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれるという命令を下したように、(ダニエル書3章参照)その獣の像を拝まないものはみな殺されます。

黙示 13:16 また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。
黙示 13:17 また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした。
黙示 13:18 ここに知恵がある。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさしているからである。その数字は六百六十六である。

患難の時代になると、すべての物流、売買を数字による信用取引に変え、現金取引が廃止され、完全に金融とコンピューターを一体化したキャッシュレスの制度が整備されるでしょう。
人々は、現金取引が廃止され金融機関に持っている口座を証明するために、カードや磁気テープの代わりに、情報が盗まれたり、他人と間違うことのないように、それらの個人情報をチップに入れ、このチップを自分の皮膚の下に埋め込むようになります。
獣によって、人々は番号化され個人情報はチップによって刻印として右の手かその額の皮膚に埋め込まれます。そして、この刻印のないものはだれも買うことも売ることもできないという世の中となります。

ギリシア語やヘブル語は、それぞれのアルファ、ベータ、ガンマ、やアレフ、ベス、ギメルという英語のアルファベットの文字が数字の一,二,三、という数字をあらわし、反キリストの名を数字にしそれを合計すると六百六十六となり、聖書で人をあらわす六という数字によってサタンの化身である獣が人としてあらわれます。



 
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